コラム

顧客リストの名寄せ・重複削除——
AIの下書きと人の確認で回す仕組み

顧客リストは、展示会・問い合わせ・紹介など複数の経路から情報が集まるほど、同じ会社が別の表記で何度も登録されやすくなります。「株式会社」と「(株)」、全角と半角、読み仮名だけの表記など、法人名の書き方がそろわないまま蓄積したリストは、件数が増えるほど名寄せ(重複の統合)の手間が増えていきます。

この記事では、法人名の表記ゆれを見つけて、そのまま1件にまとめてよい「まとめ候補」と、人が内容を確かめる「要確認」に仕分けて下書きを作る仕組みを、手作りの例で説明します。

こんな作業に
心当たりはありませんか

仕組み:まとめ候補と
要確認に仕分け、確定は人

この仕組みがやるのは、顧客リストの自動統合ではありません。法人名の表記ゆれ(株式会社⇄(株)、全角⇄半角、長音の有無など)を見つけて、次の2つに仕分けて下書きを作るところまでです。

候補に挙がった行も、人が確かめてから統合する前提です。自動で統合・削除まで済ませる仕組みではありません。

ルールで直せるもの・
AIに任せるもの・人が決めるもの

「AIでどこまでできるか」は、表記ゆれの種類ごとに分けて考えます。全部をAIに任せる必要はありません。

下の見本でいえば、まとめ候補の3組はルールで足りる部分、要確認のうち読みだけが一致する3件(③⑥⑦)はAIに候補出しを任せたい部分、拠点違いの2件(⑧⑨)は人が決める部分です。

見本の数字:15件を数えて、
まとめ候補3組・要確認5件・
重複なし4件に分ける例

サンプルの顧客リスト15件を使った例では、次のように仕分けられました。

No.リストの表記状態
1 株式会社山田商店 まとめ候補(②と同一法人とみなしてよい表記ゆれ)
2 (株)山田商店 まとめ候補(①と同一法人とみなしてよい表記ゆれ)
3 ヤマダ商店 要確認(①②と同一法人の可能性があるが、読みの一致だけでは断定できない)
4 鈴木工業株式会社 まとめ候補(⑤と同一法人とみなしてよい表記ゆれ)
5 鈴木工業(株) まとめ候補(④と同一法人とみなしてよい表記ゆれ)
6 田中建設株式会社 要確認(⑦と同一法人の可能性があるが、読みの一致だけで、法人格の有無も違う)
7 タナカ建設 要確認(⑥と同一法人の可能性があるが、読みの一致だけで、法人格の有無も違う)
8 佐藤商事株式会社(本社) 要確認(⑨と拠点違いの可能性があり、自動では統合しない)
9 佐藤商事株式会社(大阪支店) 要確認(⑧と拠点違いの可能性があり、自動では統合しない)
10 高橋電気株式会社 重複なし
11 伊藤商会 重複なし
12 渡辺運輸株式会社 まとめ候補(⑬と同一法人とみなしてよい表記ゆれ)
13 渡辺運輸(株) まとめ候補(⑫と同一法人とみなしてよい表記ゆれ)
14 中村工務店 重複なし
15 小林商店 重複なし

※ 本記事のために作ったサンプルのリストです。導入実績や削減効果を示すものではありません。

見本ページの数字はすべてサンプルデータです。試すページでは、入れたデータは外部に送信されません。

要確認に回る3つの理由

  1. 読みだけが一致する:漢字・カタカナの表記が大きく異なり、読み仮名のみが一致するもの(例:ヤマダ商店と山田商店)。
  2. 拠点・部署が異なる可能性がある:本社と支店など、同じ法人名でも別管理にしたい顧客が含まれる可能性があるもの。
  3. 法人格の有無が違う:片方にだけ「株式会社」が付いているもの(例:田中建設株式会社とタナカ建設)。法人化の前に登録した行なのか、別の事業者なのかは、リストの文字だけでは分かりません。

⑥⑦は1と3の両方に当たります。

要確認に回った内容は、下書きを作らず、担当者が元のリストを見て判断します。ここを無理に自動化しないのが、この仕組みの考え方です。

AIに渡す前に決めておくこと

実際に自社へ当てはめる前に、次の5点を決めておくと話が早く進みます。

顧客リストをAIに渡す際の注意点

顧客リストには、取引先の担当者名・電話番号・メールアドレスなど、個人の情報が含まれます。AIに渡す前に、次の3つを確かめます。

できないこと・向いていないケース

よくある質問

Q.支店や部署が別の取引先も、自動でまとめられてしまいませんか。

A.まとめない設計にします。法人格の表記が違うだけの明確な表記ゆれだけを候補にし、拠点名・部署名が異なる場合は要確認に回して人が判断します。

Q.どんな顧客リストの形式に対応できますか。

A.Excel・CSVで管理されたリストのほか、CRMからの出力にも対応します。管理している項目(会社名・電話番号・メールアドレスなど)を伺ったうえで、照合に使うキー項目を設計します。

Q.一度きれいにすれば、それで終わりですか。

A.終わりません。展示会・問い合わせフォームなど入口ごとに表記が揺れるので、新しく増えた分に同じ仕分けを定期的にかけるか、登録するときの書き方を決めておくかのどちらかが要ります。

Q.どんな会社に向いていますか。

A.展示会・問い合わせ・紹介など複数の経路で顧客情報が増え、同じ会社が別表記で何度も登録されている会社に向いています。もともと新規登録がまれで、名寄せの機会が少ない会社では、効果は限定的です。

まとめ

顧客リストの名寄せは、「全部を自動でまとめる」か「全部を手作業で続ける」かの二択ではありません。法人格の表記ゆれがそろった分だけ下書きにして、拠点・部署の違いが疑わしい分や読みだけが一致する分は人が確認する——この仕分けだけでも、重複の放置と誤統合の両方を減らしやすくなります。

今回の例(15件→まとめ候補3組・要確認5件・重複なし4件)は、本記事のために作ったサンプルのリストです。御社の顧客リストの表記のクセや管理項目にどこまで当てはまるかは、まずは現状のリストを見せていただくところからご相談ください。

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